透明人間の告白

証券マンのニックは、偶然巻き込まれた事故で透明人間になってしまった。
自分の体が見えない。事故が起こったときに身に着けていた服も見えない。
だが、それに気づいた秘密情報機関の大佐がいた。
誰にも見えないという武器。それは諜報機関にとって計り知れないもの。
執拗にニックを追いかける大佐。逃げるニック。
誰にも見えないという武器を持って逃げるニックを待ち受けていたものは、
生きるための障害と誰からも相手にされない悲しみ。
それは生きていくための過酷な現実だった……。


透明人間になったらあらゆる自由が手に入る。
そう思う人は多いだろう。僕もそうだ。
そんな人はこの作品を読んでみるといい。


諜報機関から追いかけられる。それから逃げるには、自分のことを誰にも知られてはならない。
生活するには必要なものがたくさんある。でも物を盗めば、諜報機関に目をつけられる。
徐々に追い詰められるニック。
そんな苦悩や苛立ちがこれでもかと描かれ、それでいて明るいキャラのおかげで、重くなりすぎていない。
これほどサスペンスにまみれたユーモアあふれる作品があっただろうか。


ああ、この読み終わった直後の興奮を伝えたい。誰かに伝えたい。
今すぐ誰かを呼び出してこの感動を伝えたい。
そうしたくなるぐらい面白かった。


本の雑誌が選ぶ30年間のベスト30 で 1位をとった作品。
ほぼ絶版状態になっていて手に入らなかったこの本に重版をかける決定をした新潮社に感謝!
ダントツにオススメ!



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