ハイウイング・ストロール

その日が楽しければいい。目標がなくやる気ない毎日を過ごすエメリオル。
そんなある日、突然女性から声をかけられた。
「協会から紹介を受けたんだけど。君がエメリオル・エッダ?」
無理やり連れて行かれたところは航区。シップの港。そこにいるのはショーカたち。


ショーカ。それは空翔ける狩人。機体で空を駆け巡り、浮獣を撃つ。
食料、衣服、羽根材、甲材など、人間の生活に必要なものは、すべて浮獣から得ている。
「私が獲物を撃つから、打ち落とした獲物にあなたは私の標識の印を銃でつける。わかった?」
ろくな説明もなしに、エメリオルはショーカの見習いをさせられて……。


やはり空の物語はいい。
こういう本を読んでいると、自分も機体で空を飛びたくなる。
まるで「紅の豚」を見ているかのようだ。


風を切る翼。逆転する上下。放たれる銃弾。
実力はありながら、周りにもある程度認められながら、暗い影を持つジェンカ。
機体に振り回され、悲鳴を上げながらも負けん気いっぱいで、少しずつ成長をしていくエメリオル。
そんな二人が落ち込み、励まされ、協力し合い、いつしか目の前のことだけではなく未来を語る。
読後の爽快感は格別な、素敵な冒険物語。


ハイウイング・ストロール - 小川一水