小川一水
「本当になんとかできないのか?抑えられないし、勝手に暴れてあふれるものだけど……どろどろして汚して壊すとは限らない。いや、いや、違う。勝手に暴れてあふれてどろどろして汚して壊すものだとしたうえで、でもそれだけなのか?って思う。……それだけじゃ…
「あなたは、そのことに縛られすぎだと思う。人は、職を持つ以前に、まず人間なんじゃないの?」 宇宙って怖いな。でも未知のものに触れるワクワクもあって、面白かった。「都市彗星のサエ」と「占職術師の希望」がとても好き。→ 感想
「笑わば笑え、これはわれわれの意地だ。だがわれわれ<酸素いらず>はこの意地で宇宙に立っている。この意地あってこそ、連中に立ち向かうことができる。逃がすつもりはない」 面白い。冥王斑の話もあるけれど、それ以上にノイジーラントの人々と、アダムス…
「ウイルスなの?」 「そこですね」 ひととおり三人に打てる手を打つと、圭伍は一息ついて言った。 「最初の質問に答えますよ。この病気は見たことのない代物です。出てくる症状に対処することはできるし、今やりましたが、原因は不明です。それを突き止める…
「続けろ」 アリクラの頬がこわばる。それは恐怖のこわばりだ。 「続けるんだ。<海の一統>の伝説を。大いなるものにあらがに、星を踏み越えて飛んだ猛々しさを思い出せ。俺たち<恋人たち>が憧れてできなかった、果敢な反抗な姿を見せ続けろ!」 いい人が…
「もちろん権威も大事だけどね。いや皆さん、話は簡単なんですよ。つまり」 キャスランは長い銀髪をかきあげて、晴れやかに微笑んだ。 「未知の怪物だろうが黄金の山だろうが、はたまたミミズのうごめくドブ泥だろうが、それがなんであれ領主がほしいと言う…
「……思い出を味わおうとしたのね」 「思い出も、後悔もです」 「後悔があるんだ。ロボットなのに」 「ロボットだからこそ、後悔があるのです」 一人乗りの空飛ぶ飛行機。ネコの冒険ミッション。雪の日の人型ロボット。限界を逆手に取るロボット。パンデミッ…
「頼む」 骨が折れそうなほど強く握って、オログが祈るように目を閉じた。 「やってくれ。呼んでくれ。杭を突き刺すロバではなく、泉を掘るその子馬を」 楽しかった。物を作るっていいですね! → 感想
「僕からも礼を言う」 「何に?」 「彼女を助けてくれたことを」 れー図画淡い苦笑のにじむ声で言った。 「助けずにはいられなかった。……いえ、助けたくなってしまったのよ。ずっと昔から、利用されるのはいやだと思っていたのに」 町を作り上げていく軌跡に…
そう言って胸に手を当てた。 そこに心臓は、ない。この体に、血で動く肉はない。 乾いた機械が、指先まで詰まっている。 私は、私を殺して、ここまでたどり着いた……。 どれもこれも長編で読みたい短編ばかりでした。つまりは物足りなかったりするんだけど、…
「それだ!そういう意見がほしい。住環境の中でも食事は人間にとってもっとも大切なものだ。こいつを改善していきたい」 美旗はほっとして微笑んだ。 しかし彼の次の台詞を聞いた途端、失敗したかもしれないと思った。 「で、どうすればうまいものが食えると…
「幢を」 濡れた袖で乱暴に目を拭って、周りを見回した。悲嘆に暮れた顔が連なっている。もう一度息を吸い、出せる限りの大声で喝した。 「幢を立てよ!卑弥呼の大旗を!わらわはまだ倒れてはおらん!」 鳥肌が立つほどの興奮と、感動に酔いしれました。→ 感…
「くそ……何が起こった」 壁に押し付けられて動くに動けないまま、二ノ瀬はうめいていた。 「もしもし、センター聞こえるか」 胸のポケットのカード型情報端末は、望天のAIを呼び出してくれるはずだ。だが、AIは答えなかった。 どこかで強烈な空気漏れが起き…
矛盾を抱えた過酷な仕事を一水が書いたらどうなる? → 感想
復刊に大感謝!→感想
「千マイル急行」。エイヴァリー人の技術を集結したその列車にテオは乗車した。 抽選で選ばれた百数名と共に。 ただのひとり旅のはずだった。両親は何も言わなかった。 だが列車が出発してまもなく、故国はレーヌスとルテニアに占領された。 市政府はこの事…
小さな小さな国。ウルムスター王国。 資源の少ないこの国だが、手付かずの高原があった。 開拓すれば間違いなく国は潤う。 だが王女は開発しようとしなかった。 「この星の広さは有限だ。人の住む地域を際限なく広げていけば、いつか、森や草原や、山や川が…
ウルムスター王国。祖国とは比較にならないほど小さな国。 だが、軍事拠点として重要な位置を占めるこの国を見逃すわけにはいかない。 イウォーン帝国のスパイとして、私はウルムスター王国に足を踏み入れた。 長官の秘書官として。 だが国を治めている型破…
それは突然現れた。カエルのような形態をしている肌色の生き物クラッド。 級長の如月を狙うかのごとく攻撃を仕掛けてくる。 クラス中がパニックに陥った中、現れた男女二人がクラッドを抑えた。 だが、如月はクラッドに刺され、獲物として狙われることになっ…
日本列島がわずか二週間で 50センチから 1メートル移動している。 政府関係者がそのことに気づき調査をしたら、地震発生時に震源地に必ずいたのが山水ジオテクノだった。 だが、何が起こっているのかは彼らもわかっているわけではなかった。 ひとつだけ言え…
鉄床石。それは動かせず、壊せない石。 その石のために土木業界は工事が進まないことが多々あった。 山水ジオテクノは鉄床石を動かせる唯一の会社として有名だった。 そんな山水ジオテクノを要平は訪れた。家にあった先祖からの巻物を手に。 宝探しは割に合…
翼のある人。空を飛べる人。人は彼らをイカロスと呼ぶ。 遺伝子的に問題はないのに、なぜ翼が生えるのかわからない。 でも空を飛ぶだけで満足できる。そんな大らかな性格の人が多いイカロス。 だが、政府は違った。 秩序を乱す者たちに対し、規制を設ける法…
目的人格により操られたセントール人。狙いは宇宙へ飛び立てる知的生命体。 いつしかオセノアも狙われることが判明し、司たちは防衛体制に入ろうとした。 司たちの支援により、急速に文明を発展させるオセノア。 同時にそれは地球への反抗をも促すことになっ…
ついに産業革命を迎えたオセノア。天才的発明家クルケンにより、文明は空を目指す。 だが、地球と同じく軍は空を欲した。 異種族の争いを大きくしたくない司は、自身の正体をクルケンに明かすことにした……。 空に陸地の何倍の広さがあると思ってる。人間が文…
停滞した人類。再び日が昇ることはあるのだろうか。 人類と似た進化を遂げるオセノアに光を見出したい統連。 そのオセノアでは、スワリスとヒキュリジが相変わらず戦闘を繰り返している。 何としても止めさせたい司は、双方に戦争の愚かさを教え、話し合いに…
人類は地球外知性体に出会った。百五十年間で六百を超える地球外知性体に。 これまでのところ、地球ほど発達した文明はなかった。 では人類はどうすべきなのだろうか。介入すべきか。するならどこまで? 議論の末、法が作られた。骨子は三点。外文明の保護、…
その日が楽しければいい。目標がなくやる気ない毎日を過ごすエメリオル。 そんなある日、突然女性から声をかけられた。 「協会から紹介を受けたんだけど。君がエメリオル・エッダ?」 無理やり連れて行かれたところは航区。シップの港。そこにいるのはショー…
十六年に及ぶ戦争。そこにかつての栄光はなく、不利になったフレナーダ国。 だが、責任を追及されるのが恐ろしい政府は、戦争をやめなかった。 しかし長引く戦争に民衆の反発は増えるばかり。 そこで目をそらすために作られたのが「艦隊病院団」 悲惨な戦死…
二隻の船が沈み、二十人以上の人命が犠牲になった。 沈没する船からの最後の通信内容。 「硬い、化け物だ……」 いったい何が起こったのか。 海保が調査を依頼したのは、海底に眠る燃料メタンハイトレードを探索する「デビルソード」を扱う会社だった。 「デビ…
フライトアテンダントを目指す夏川伊吹。 応募する会社からことごとく落とされてショックを受けていた矢先に、同じスクールに通っていたライバルの令子から紹介された会社。「ジュエルボックス・ナビゲイター社」 そこは小さな小さなヘリコプターの会社。社…