まずは一報 ポプラパレスよりⅡ
小さな小さな国。ウルムスター王国。
資源の少ないこの国だが、手付かずの高原があった。
開拓すれば間違いなく国は潤う。
だが王女は開発しようとしなかった。
「この星の広さは有限だ。人の住む地域を際限なく広げていけば、いつか、森や草原や、山や川がなくなって、見渡す限り街になってしまうんじゃないか」
そんなある日、王女が消息を絶った。王女が運転する飛行機が墜落したのだ。
王女と共に飛行機に乗っていたトランスが目を覚ましたとき、
助けてくれた男性の胸に王女は顔を埋めた。
「兄様……」
王女の遠くを見つめる視線とその信念。
王たる資格を持つものの言葉だと思う。
二百年、その程度の未来にまでなら、ひとりの王の力でだって、残せるものがあろうだろう。
……たとえば、ほんの高原ひとつ分の森だとか
今回はポプラパレスから離れた二話が収録。
どちらも王女とトランスがふたりで活動。
特に二話目「Crossing Letter」は、王女の嫉妬がありありと出ててかわいい限り。
お互いの気持ちに気づいたにもかかわらず(バレバレだって!)、いつもどおりに過ごそうとするふたり。
ラストを読んだら、気持ちよく本を閉じれる。
そんなポプラパレスからの物語第二巻。
前作の感想: まずは一報 ポプラパレスより