イカロスの誕生日

翼のある人。空を飛べる人。人は彼らをイカロスと呼ぶ。
遺伝子的に問題はないのに、なぜ翼が生えるのかわからない。
でも空を飛ぶだけで満足できる。そんな大らかな性格の人が多いイカロス。
だが、政府は違った。
秩序を乱す者たちに対し、規制を設ける法律が成立した。
今までの自由奔放なイカロスたちの生活は激変して……。


次から次へと襲ってくる危機に、イカロスが立ち向かう展開。
引き込まれるサスペンス。引き込まれる空の戦闘。
そして最後に求めるものはやはりそこか。


自分が空を飛べたらどれほどいいか、というのは誰もが夢想することではないだろうか。
では、なぜ空を飛びたいのか。
いろいろあると思うけど、著者はいう「逃げたいから」だと。
それは物語にも活かされている。
人と異なるイカロス。追われるイカロス。逃げるイカロス。
そう、逃げたっていいじゃないか。それができるのであれば。
とはいえ、全力で飛ぶ姿は、自由を求める姿は、ただ逃げるだけのものじゃない。
そう感じたのも事実。
迫害を受けても変わらず、やがて進化へと続くイカロスたちの物語。


イカロスの誕生日 - 小川一水