むかしのはなし
- 「ラブレス」
- 「ロケットの思い出」
- 「ディスタンス」
- 「入り江は緑」
- 「たどりつくまで」
- 「花」
- 「懐かしき川べりの町の物語せよ」
7編からなる短編集。すべてが誰かに語りかけるように進む展開。
ホットでクールでシュールな物語ばかり。
特に良かったのはトリを飾る「懐かしき川べりの町の物語せよ」でしょうか。
教師すら怖がるほどの不良であるモモちゃん。
その堂々とした態度に憧れていたら、ひょんなことから話すようになった。
新しく得た仲間へ夢中になった夏休みと冒険……。
そんなモモちゃんが隕石が衝突すると聞いて語った言葉。
死ぬことは、生まれたときから決まってたじゃないか。
独立した物語でありながら「三ヵ月後に地球に隕石が衝突する。生き残れるのは一千万人」というリンクする設定があり、無頓着なもの、後悔するもの、愛するもの、受け止めるものなどなど、非常に興味深い作品ばかり。
この著者の作品ははじめて読みましたが、かなり好み。かなり秀逸。
第133回直木賞候補作品。お勧めの作品です。