τになるまで待って

山吹、加部屋、海月の三人は、資料調査のバイトをすることになった。
場所は森の奥深くにある伽羅離館と呼ばれる別荘。そこにはひとりの超能力者が住んでいた。
彼が見せた異世界へ通じる扉。同じ部屋にいるはずなのに、お互いの姿が見えない。
何らかのトリックがあるはず。悩む山吹と加部屋。
その謎を追う最中、突然、起きた事件。
硬く閉ざされた扉の中で起きた密室殺人。
まさかほんとうに異世界の扉が開いたのか……


今回は無理やり起こされて現場に連れて行かれたとあって不機嫌極まりない犀川
登場してたった五分で解決かよ!
Gシリーズでは出番が少ないけれど、圧倒的な存在感を示しますね。
海月と師弟関係を結べばいいのに。


それと本作であった国枝女史と犀川先生から印象的な言葉。
「自分が既に持っている常識が、新しい可能性を知らないうちに排除してしまうことがある」
「思考というのは、既に知っていることによって限定され、不自由になる」
どちらも物語の中だけでなく通じる言葉。胸に刻もう。


それにしても、いろんなところに明かされない謎がある。
相変わらず重要なキーワードの真賀田四季はいったいどこにいるのか。
佐々木夫人は何かを知っているのか。
探偵赤柳はひょっとして……
散りばめられた伏線がいつ活用されるのか。
その時の衝撃を予想しつつ、いい意味で裏切られる事を期待したい。
そんな G シリーズ第三弾。τ(タウ)になるまで待って。


τになるまで待って - 森博嗣


前作の感想: θ(シータ)は遊んでくれたよ