旌旗流転・妖雲群行 アルスラーン戦記(9)(10)

パルスの奴隷解放を受け、憤慨する諸国。
放っておくわけにはいかないと、ミスル、チュルクが立ち上がった。
どちらもパルスの王の血筋を引く「ヒルメス殿下」を祭り上げて。
二国に現れたヒルメスに翻弄されるかに思えたパルスだが、
ナルサスの知略は汲めども尽きぬ泉のように湧き出ていた。
安泰に見えたパルスだが、さらなる不穏の空気が流れる。
蛇王ザッハークの眷属の怪物が現れ始めたのだ!


アルスラーンが統治してから三年ほどたったパルス。


「血統にこだわるというのは、結局、生きる姿勢が後ろ向きということなのだ。血統がしめすものは過去の栄光であって未来の可能性ではないからな」


平穏な国を乱すのは血統を重んじるヒルメスを担ぎ上げた諸外国と、蛇王の復活を望む魔道師。


今回はファランギースの過去がわずかながら語られる。
恋の話。挫折。そしてミスラ神につかえようと決意したこと。
そのような過去があったからこそ、ファランギースは立ち直ったのだ。
これはアルスラーンにも言えること。


「生まれながらの王者など存在しませぬ。人は自覚することによって王となるのです。そして、自覚する王を、臣下は決して見すてませぬ」


何になろうとも通じる言葉。


最後の最後でタミハーネ王妃の子とも言うべき存在が現れる。
これはもしやのもしや?
次なる展開が待ち遠しいことこのうえないシリーズ第九、十巻。


旌旗流転・妖雲群行 アルスラーン戦記(9)(10) - 田中芳樹


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前作の感想: 王都奪還・仮面兵団 アルスラーン戦記(7)(8)