過ぎる十七の春

春休み。毎年恒例の親戚の家へ向かった直樹と典子。
自然溢れる山の生活は、ユートピアのよう。
だが、時おり陰る表情を見せる伯母。
疲れたような表情を見せる従兄弟の隆。
「何かあったのか?」
「夜に……変な気配がするんだ」
そして次の日から、隆の態度は豹変した……。


今までどおりの日常だと思っていた世界に落ちる影。
ひたひたと忍び寄る影が、気づけばぴったりとくっついているかのよう。
怖い。ホントに怖い。思わず手に汗を握るほど。


物語全体に忍び寄る雰囲気はさすがといくべきか。
もう少し深みを見せてくれればさらに面白くなったろうけれど、それはまた別の機会かな。
あっという間に飲み込まれてしまうストーリィテリングな物語。。


過ぎる十七の春 - 小野不由美