星の葬送 グイン・サーガ 88

嘆く声は途切れることがなかった。
人々は悲しみ、別れを惜しみ、立ち去る者はいない。むしろ増えるばかりだ。
悲しみはついえない。だがその意思を閉ざしてはいけない。
グインはキタイの脅威を除くため、レムスをたたく決意を固める。
そんなおりにパロの第三王位継承者であるディーンが現れ……


何度も騙された者たちは今度もそうだろうと思うだろう。
むしろ今度もそうであってくれと願うに違いない。
だが、それが現実。
その悲しみが最も染み入ったのは、登場人物たちの泣いている姿でも、慰めあってる姿でもない。
光の乱舞という表現がされた風景描写。
多くの者たちの悲しみを表すのにこれほど的確な描写があるだろうか。
目の前にその景色が思い浮かぶ。巨大な喪失と追憶の重み。


「待て、そして希望せよ」


その言葉が忘れられないシリーズ第88巻。


星の葬送 グイン・サーガ 88 - 栗本薫


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前作の感想: ヤーンの時の時 グイン・サーガ 87