ソウルドロップの幽体研究
― 三日後に、この部屋の住人の、生命と同等の価値のある物を盗む ―
予告状の紙切れはいつの間にか置かれていた。誰一人気づかぬ間に。
三日後、その部屋にいた老人は厳重な警備の中、亡くなった。
サーカム保険の調査員である伊佐と千条は、"ペイパーカット"と呼ばれる
怪盗によるものと結論付ける。
「ヤツは怪盗じゃない。泥棒とも呼べない。ヤツはむしろ、― 殺し屋だ」
真に重要なもの ― キャビネットセンス ― を奪われた人間は、生きているとは言えない。
ペイパーカットはキャビネットセンスを奪い、人を殺していく。
謎の怪盗を追う二人は、ペイパーカットからと思われる予告状が届いた巨大ホールへ向かった。
― 一週間後に、この場所に訪れた者の、生命と同じだけの価値ある物を盗む ―
予告状が指定する日は、天才と呼ばれた歌手の追悼コンサートが開催される予定だが……。
ペイパーカットという不思議な存在に惹かれた者たちが、事件を追っていく物語。
相変わらず跳んでいて、どちらかといえばラノベ的。
その上、サスペンスで、ミステリィでもあるこの展開は全くといっていいほど飽きさせない。
伊佐と奈緒瀬の今後がどうなるのかも注目していきたいシリーズ。
次作の感想: メモリアノイズの流転現象