探偵倶楽部

ワンマン社長の自殺と思わしき死体を見つけたのは、宴会も終わりに近づいた頃だった。
結婚が成立していない女性、会社の世間体、遺産の行く末。
それぞれの思惑を反映させるべく、発見者たちは事故死を装うことにした。


だが、宴会を終わらせ、小細工をし、社長の死体が眠る部屋を再び訪れたとき、死体は消えていた。
いったい誰が?
謎に包まれた事件を解決させるべく家の女主人は探偵を雇った。
そこは会員制の、別名「探偵倶楽部」と呼ばれる調査機関だった……。


黒いスーツを身に纏う男女。探偵とは思えない美形。
「私は無駄なことはしない主義なのです」
そんな探偵が登場する五篇からなる短編集。


提示されている条件から、解決の糸口を見つけるという展開。
結果の判断は依頼人に任せ、事件を解決することは探偵の役目ではないということを
自覚しているかのようだ。
それを示すかのごとく探偵たちの登場はごくわずか。
それでいて、難事件をものの見事に解きほぐしていく姿は読んでいて気持ちいいほど。
探偵の姿と皮肉な結末の対称が光るミステリィ


探偵倶楽部 - 東野圭吾