2006-05-19 街の灯 book 北村薫 「我々のような人間とそうでない人たちのいることは、とても不当なことに思える。でも、実際に、今のような家を見て、≪あそこに住め≫といわれたら、震えてしまう。とても出来ない」 「お嬢様―」 とベッキーさんは、静かにいった。 「≪あのような家に住むものに幸福はない≫と思うのも、失礼ながら、ひとつの傲慢だと思います」 わたしは、やさしく叩かれたような気持ちになった。 昭和七年。私とベッキーさんが遭遇したちょっとした謎物語。 → 感想