天国の対価 おもひでや

「あの、僕、この名詞見て来たんですけど……」
なんて切り出したらいいのだろう。
「ここのお店では、なんでも好きな、その……」
言いよどんでいる孝志に向かって、男はかすかな笑みを口元に浮かべたまま、静かに頷いた。
「ええ、左様でございます」
男の態度は、悪戯とは思えないほど、堂々としていた。
「当店では、何でもお客様のお望みどおりの思い出をお売りいたしております」

どこか切なく、どこか歪で、でもじんわりと心が温かくなる物語 → 感想