影踏みシティ

「ここんとこ、あたしたちの旅に目的ってなかったじゃない?ロビーは、あたしたちに数日分の目的を作ってくれた。こういうのって良いじゃない。得した気分」
恥ずかしくて慶太にはまともに見られなかったけれど、リオは嬉しそうに笑っていた。
―そうか。僕とリオさんの旅に目的も目的地もないんだった。目的を決めてしまったら、それに向かって走らせなきゃならなくなる。
それは、なんだか、せせまこしくて、そして追い立てられるようで。でも、数日間だけの目的なら、あったって悪くない。
―なら、こんなのも悪くない。

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