カントリー・ハウスは恋のドレスで ヴィクトリアン・ローズ・テーラー

「せっかくだからきれいにしていきなさいよ。このところあんたもあまり自分にかまっていられなかったようだし」
「え……い、いいわよ。いつものとおりで」
「おわびのしるしよ。まかせて」
パメラはさっさとクリスのリボンをほどき、黒髪を肩に流れさせた。
「男の人はね、待ち合わせをしている女の子がきれいだと喜ぶのよ」
ブラシを手にしたパメラが、くすりと笑った。クリスの頬に血が上る。
そんなことになったら、あの人はなんと言うだろう。何を考えても、不安で、つらくて、心がもみしぼられる。それなのに、胸はよろこびで満ちているのだ。

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