ηなのに夢のよう

「なんか、元気がないね」
「そんなことありません」
「そう?」
「ちょっと、月を見て、悲しくなってしまったの」
「今日は、月は出ていないだろう」
フロントガラスに顔を近づけた。見える範囲の空は真っ黒だった。
「そのようですね。さあ……」彼女は息を吐く。「それじゃあ、行きますからね。覚悟していてくださいよ」
「ああ、じゃあね、出しておくよ」
「え、何をです?」
「月を」

次の作品から大きく動きそうな予感。ラストで涙。 → 感想