レギオン―きみと僕らのいた世界

葵はぼくに何度も「ありがとう」と礼を言った。白い肌は血の色に紅潮し、息は絶え間なく弾んでいる。黒目がちの瞳はうっすらと潤い、痛みさえ忘れてぼくは見入るほどだった。もちろん彼女は平静ではなかったし、本心からぼくの身を心配してくれてはいたろうが ― なぜだろう、その涙の意味が少し違うように思えたのは。
ありがとう、という言葉が、まるで、ごめんなさい、というふうに聞こえたのは。

これはかなり面白かった。次の完結編で、どう結末を持ってきてくれるのか楽しみ。→ 感想