紅鶴城の幽霊 グイン・サーガ 114

(そうなる前に……何も告白などできなくても、せめてあたしの心が勝手にあのかたをお慕いしているくらいは……ゆるしてやりたい……)
マリウスの優しい微笑み。
その、甘い、忘れがたい声。
それは、イシュヴァーンを愛し、その愛に失敗して、自らのいのちを絶とうと思うまでに思い詰めていたただひとりのあるじのもとをも、住み慣れた宮廷をも去ったフロリーにとっては、長くつらい放浪の日々のなかでのはじめての「癒し」だったのだ。

今度はフロリーの独り言編。タイスから出るのはいつになるんだろ……→ 感想