断章のグリム6 赤ずきん・下

「でもねえ、真面目な話をすると、一度<騎士>を始めたからには役目のために感性を殺さなくちゃいけなくなる小さなことがたくさんあるわ」
「……」
「役目を果たすために、本当に小さなことだけど、大切にしがみついてるものをポロポロポロポロと少しずつ崩していく、そんなものが、とてもたくさん。多分この写真も、そういうものの一つよ。だから白野くん、これを手にして、よく見れる?人に見せて、この子の親しい人に見せて、もう死んでることがわかっているのに、消息を訊ねることができる?そんな心を壊す嘘に、耐えられる?
もしも耐えられそうにないなら――その覚悟がないなら、ここで引き返したほうがいいと思うのよ」

配役の妙に感嘆しつつ、後味の悪さに、顔をしかめたくなる。でも、読むのをやめられないんだな。→ 感想