2009-04-25 楽園まで book ☆☆☆ 張間ミカ あまりにもささやかに流れたから、アンナはそれに気づかなかった。そしてハルカはそのたったひと雫だけで、涙を止めた。 胃の中に充満した恐怖と不安のほんの隙間から、焦燥に似た感情がじんわりと滲み出す。 早く行かなければ、とハルカは思った。 早く行かなければ、 楽園に。 オッドアイであるが故に迫害される姉弟が、楽園を求めて旅するお話。生きたいという想いが切なく響く。→ 感想