楽園まで

あまりにもささやかに流れたから、アンナはそれに気づかなかった。そしてハルカはそのたったひと雫だけで、涙を止めた。
胃の中に充満した恐怖と不安のほんの隙間から、焦燥に似た感情がじんわりと滲み出す。
早く行かなければ、とハルカは思った。
早く行かなければ、

楽園に。

オッドアイであるが故に迫害される姉弟が、楽園を求めて旅するお話。生きたいという想いが切なく響く。→ 感想