この雪に願えるならば

「フェイドルンさあ。ドードーの鐘、とは何ですの?」
レシータは尋ねた。この前にも尋ねたが、答えは得られていない。
彼の答えは、明快だった。
「生贄山羊の鳴き声のことですよ。女神よ、ドードーとは存在する『もの』の名です。そちらは、探せばすぐに見つかりますよ。きっと、意外に近くにいますよ。あなたのね」

記憶を失った歌姫。彼女を支持する青年。彼女に冷たくあたる婚約者。トップの座を奪われそうになる女神。歌劇場で繰り広げられる悲劇は、見えてくるにしたがってやりきれないものがある。愛されたいと思う気持ちが、こういう形になるとは……。タイトルが胸にしみてしんみり。→ 感想