響野夏菜

鳥籠の王女と教育係 夢で逢えたら

「あなたは、どんな憎まれ口を叩こうと、すねようと、怒ろうとかわいいですから」 「あなたにとっては、でしょう」 「何か不服ですか。好いた人に好かれる。それ以上のしあわせがあるとでも?」 短編小説+漫画が収録されてる短編集。ああ楽しい。漫画になる…

姫さま、恋愛禁止です! 花婿はお馬の王子

「まかり間違っても、どんなにしんぼうたまらんな状態になっても、けっして早まったことはなさいませんように」 厳命にふたりはうなずいた。が、話はそこで終わりではなかった。 「万一を考え、できるだけ気持ちを高ぶらせないようにしたほうがよろしいでし…

鳥籠の王女と教育係 <国守り>の娘

「本当は、もうだいぶ前から考えていたことなのですが」 ゼルイークは言った。 「わたしは魔法使いをやめようと思います」 いくつかの話がトントン拍子に進んでいきましたが、いやあ、ラストが良かった。こんちくしょうという言葉に、ご馳走様でした→ 感想

半魂香 まどろみの巫女と<守護者>(上)

「わたしは、生きる者のために死者を呼ぶんだ。未来へ歩いてゆけるように」 すぐ傍にいながら届かない距離という思いも、随所に感じられてきゅんとなる。生者と死者を橋渡しすることで、生きる力を呼び起こす一族が、武力によって勢力を伸ばしてきた一族と出…

鳥籠の王女と教育係 魔法使いの選択

「けれどね、エルレインさま。わたくしはアレックスの母親でもあるの。だからこうなった今、お願いするためにあなたを呼んだの。アレックスは、長くはもたないかもしれない」 エヴィータの瞳の奥で、隠しきれない感情が揺れた。 「エルレインさま。考え直し…

鳥籠の王女と教育係 恵みの環の魔王

「予言もしてはいけませんか」 気がつくとエルレインはそう言っていた。自分がここを離れたらと思うと、急にたまらなくなった。ゼルイークには孤独の陰がつきまとっている。 「はあ?俺のことをか?人の名を明かさずに言えるなら言ってみろ」 「あなたは恋に…

女神の娘の恋歌 一瞬の光、永遠の輝き

「たとえ神々に踊らされているんだとしても、わたしは進む道を自分で決めたって思いたい。だってそうでしょ?じゃなけりゃ、生きている意味なんてないよ」 うーん、どうにも感情移入しづらい展開だったなー。みんなで幸せにと言うミーナの思いはよくわかるん…

鳥籠の王女と教育係 嵐を呼ぶ王子

「すべて、わたしが間違っておりました」 何が?と誰もが思った。幾人かが毒舌を吐くかまえを見せる。 だが、それは果たされなかった。続いた言葉は、あまりにも衝撃的だった。 「どうかお許し下さい。わたしはエルレインとの婚約を解消いたします」 アレク…

女神の娘の恋歌 光の乙女、闇の聖女

それでも、彼らのやり取りはミーナの心に刺のように刺さった。 妖魔と、女神に仕えるパラデール教団。 どちらもがそれぞれ訊いた。 ミーナをどう思っているか。と。 先輩に嫉妬する兄弟にニヤニヤしましたが、母についての話が明かされてからの展開は、複雑…

鳥籠の王女と教育係 さよなら魔法使い

もし。もし。もし。ぐるぐると回る言葉を閉め出して、エルレインはもう一度、震える声でうなずいた。 「はい」 信じたいから。願いたいから。 これが魔法使いとの「さよなら」ではないと……。 揺れ動く様に切なさを感じていたけれど、まさか最後に……さよなら…

鳥籠の王女と教育係 姫将軍の求婚者

「そんなに憂鬱でしたか」 「だって。現実が肩にずっしりじゃないですか」 「憂鬱の味を少々知るのも悪くありません」 ゼルイークの突拍子もない発言に、エルレインは眉をひそめた。問う前に答えが返る。 「憂いは人を美しくしますからね。どうりでお綺麗に…

女神の娘の恋歌 暁は伯爵、黄昏は魔王

「望む結果が得られるとは限らないんですよ?」 ミーナはにっこりした。 「ええ、それはもちろん」 「そのにっこりは『だからって諦めてなるものか』に見えるよ。やれやれ」 新米司祭のミーナの気の強さがとても楽しい。曰くありげな伯爵達を相手どる姿にニ…

鳥籠の王女と教育係 永遠の恋人

「魔法は、恵みじゃないんですか」 「恵みです。けれどいつもそよ風を運んでくるわけじゃない」 「時として嵐になると言いたいのですか」 「そうです。誰かの幸せは別の誰かの不幸せだったりするでしょう?同じように魔法も、人のさだめも幾重にも重なり、つ…

この雪に願えるならば

「フェイドルンさあ。ドードーの鐘、とは何ですの?」 レシータは尋ねた。この前にも尋ねたが、答えは得られていない。 彼の答えは、明快だった。 「生贄山羊の鳴き声のことですよ。女神よ、ドードーとは存在する『もの』の名です。そちらは、探せばすぐに見…

鳥籠の王女と教育係 魔王の花嫁

「エルレイン。では、また後ほど。今度は人の姿で会おうぞ」 アレクセルがヒラヒラと手を振る。 「慰めるのにかこつけ、あなたに口づけできるのは緑色の時だけだからな」 初恋の人が現れて揺れる乙女心展開。甘さたっぷりでありながら、シリアス度も高くて………

鳥籠の王女と教育係 婚約者からの贈りもの

「期待しなければ、裏切られません。喜ばなければ、悲しみもない。違いますか」 「……いいえ」 その通りだ。そして、たしかに寂しい。 「生きるための知恵です」 ぽつりとゼルイークは言った。まるで、同じ痛みを知るかのように。 「だからわたしは、出来ない…

今夜きみを奪いに参上! 千人王の恋人

予告状だ。 「出すのね」 「ああ。それが俺たちのやりかただからな」 ファリウスは貴族的な顔に微笑を浮かべて言った。 「明日だ。クレイユ・リレイ救出を決行する」 宿敵登場?イリーシュのがんばりで今回は切り抜けたけど、次はどうなるんだろう。 → 感想

今夜きみを奪いに参上! 翼のない王

「ごめんなさい」 そうしなければと謝った。なんとか、思いを伝えようとする。 「縮こまっていられないの。前を向いて進もうと、選んだの」 一巻よりも二巻、二巻よりも三巻が面白い。やっぱラブコメ要素って大事だなと思いました(単に僕が好きなだけ)→ 感…

振り返れば先生(ヤツ)がいる 2ndシーズン

どうしよう。 その言葉だけが回る。っていうか、ずっと回ってる。 どうしよう。今度は、誰にも言えない。 やっと。やっと気づいた。このあいだ。 あたし。先生を好きかもしれない…… 悶えまくりなお話でした。ああ、たまらん。 → 感想

今夜きみを奪いに参上! 忘れられた楽園

「だから、行くのね」 流れる涙を、イリーシュは拳で乱暴に拭った。 九つの宝玉を捜し、<扉>をあける。約束の地、ゼセナナンへ。 「わかったか、火の玉娘」 「わかったわ!」 火の玉娘がまたひとつ成長してくれました。次は恋の行く末が気になりますね。 → …

振り返れば先生(ヤツ)がいる

「きゃーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!」 あたしは、マネージャーまでがぶっ飛んでくるような悲鳴を上げた。 「ぱぱぱぱぱ、ぱぱ!?」 「さっきからそう言ってる」 「どうして、あんたがパパなのよー!!出たな妖怪!」 あたしだってわ…

ダナーク魔法村はしあわせ日和 ただしい幻獣の飼い方

「おまえ、それを本気で言っているのか?」 脅しつけるように訊くと、ビーはお得意のポーズをやった。首を傾げ、かわいらしく笑ってみせる。 「えへっ?」 「フン」 せせら笑うことで、イズーは返り討ちにした。 もう効かない。いや、ほんとは効いているが、…

今夜きみを奪いに参上! 紅の宝玉

「どうしよう。ごめんなさい、あなたを叩いちゃったわ」 「一度きりです」 こんな場合だというのに、アナベラスの声は笑いを含んでいた。 「わたしはその百倍を覚悟していました」 お転婆な女の子と、小生意気な男の子の掛け合いが魅力たっぷり!盗賊たちの…

ダナーク魔法村はしあわせ日和 いとしのマリエラ

『すっごくつらいことがあっても、次の日には、笑うことに決めてるの、あたし』 いつかの、ビーの言葉が胸にしみた。 きっと、ビーは明日、今日などなかったかのように振る舞う。そうやって頑張っているのは、必要だからだ。たとえ無理をしてでも、笑わなく…

ダナーク魔法村はしあわせ日和 ドラゴンが出たぞ!

「だろ?だから教えるんだよ。セルビエラに追いついたら、あの子のそばを離れるんじゃないよ。あの子が、おまえを守るからね」 護衛としてつけられたはずだと思うと、あべこべな気がした。それを見透かすように、アガードが続ける。 「そして、あの子を守っ…

ダナーク魔法村はしあわせ日和 ひみつの魔女集会

「今日は『ひみつの魔女集会』の日です。集会の行われる今夜、魔女以外の外出は禁止です」 「男が今夜、外へ出たらどうなるんだ?」 「ふふふ」 返事代わりの含み笑いに、ぞっとした。精一杯、平気なフリをしながら、イズーはうそぶいた。 「そうか、ふふふ…

ダナーク魔法村はしあわせ日和 都から来た警察署長

「あれが、村の秘密、ですか?」 ふたたび、荷馬車がゆっくりと進みはじめる中、イズーはたずねた。 「あのムスメが魔女だってことが?いいや」 ヘルムは笑った。 「何です?」馬鹿にされているようで、声が尖った。 「いや、すまんすまん」 詫びたヘルムは…