獣の奏者(4) 完結編

「松明の火を想像してみて、ジェシ。松明の火は自分の周りしか照らせないけれど、その松明から、たくさんの人たちが火を移して掲げていったら、ずっとずっと広い世界が、闇の中から浮かび上がってくるでしょう?」
息子の頭に顎をのせ、さわさわと春風にゆれる木々をながめながら、エリンは言った。
「おかあさんね、そういう人になりたいの。松明の火を、手渡していける人に」

子のために道を切り開き、死を覚悟しながら、それでも幸せを目指したエリンの姿に涙が止まらない。もう少し早ければ……と思わざるを得なかったけれど、あの悲劇があったからこそ、未来が繋がったんだと思いました。王獣との交流から見える思いと、人と人の思いに感動です。素晴らしかった。→ 感想