友谷蒼

伊佐と雪 なつかしいあさ

「お前は伊佐が嫌いなんだろう?」 「伊佐が嫌いというヤツ、伊佐が憎いというヤツ、それはな、自分のことなんだ」 雪の声は思いの外よく通った。 「伊佐は、鏡みたいなもんなんだよ。自分を愛し、周りも愛してる、そんなヤツが向き合えば、伊佐は優しくて温…

伊佐と雪 〜たましいのゆくところ〜

「――って、つまり――」 「だって、ほら、雪なんかがうろちょろしてたら、その『ワケあり』がみんな逃げ出しちゃうじゃないか」 「す、すると――。その、その『ワケありマンション』に住むっていうのは――」 「うん、袴田くん、ひとり」 修行僧なのに、幽霊を恐…

伊佐と雪 〜おだけしあした〜

雪は「お前」と、顎で袴田を指した。 「なんだ?」 「飯屋をやれ」 「―めし?」 「一膳飯屋だ」 「は?」 「お前の飯はな、妖どもに受けがいいんだよ」 ということで、袴田が飯屋をやるお話がありました。いつもどおり、ほのぼのしてて面白かったです。 → 感…

伊佐と雪 〜いとけしゆうぐれ〜

「僕ももう寝る」 そう言った玄太郎と一緒に横になると、袴田はたちまち眠りに落ちていった。 そうか。ここは伊佐と雪が、現代を生きるために、必要な場所なんだな。 そんなことが頭に浮かぶ。 かなりいい感じになってきたシリーズ第二弾 → 感想

伊佐と雪 〜やさしいよる〜

「悪霊よ、去れ!」 数歩歩きかけていた雪は立ち止まり、ひどく嫌そうに袴田を振り返った。ものすごく不機嫌そうな瞳が袴田をじろりと睨み付ける。 伊佐はというと、とても嬉しそうな顔をしてパチパチと拍手をした。 「袴田さん、お上手ですね。凄い、凄いで…