縞田理理

妖姫ダルシベラ ― グウィノール年代記(2)

「ガウアー。わたしもわたしのすべきことをするわ」 「それがいい」 ガウアーが皓い歯を見せて笑う。 「生まれてきた以上、誰だって自分の運命を向き合わなきゃならないのさ、姫さん」 どの道を選ぶかという迷いが描かれるお話。予想していたより話が動かな…

“呪肉”の徴 ― グウィノール年代記(1)

もう、一人じゃない……。 少なくとも、これからは一人で秘密を抱え込まなくていいのだ。自分も、この娘も。 面白かったー。アラストリナ姫とメルの関係がすっごい良かった。ほんと読んでいて惹かれるものがある。それだけにまさかの方向からの惨劇にびっくり…

竜の夢見る街で(3)

「あなたが捨てたいのは知性ではなく、知性のもたらすものではないですか?」 「知性のもたらすものだと?何の事だ!回りくどい言い方は止めてはっきり言うがいい!」 エレンは一言短くはっきりと言った。 「孤独です」 キャスの暴走にはびっくりしたけど、…

竜の夢見る街で(2)

「ケヴィンは死んだ。私はその生まれ変わりを捜している」 「それがあんたの捜している子供?栗色の眼と髪の?」 「そうだ、小鼠。そして私はおまえがそうではないかと疑っている」 キャスパーがおちゃめすぎませんか(笑) 無防備な彼を追いかけ回すフラッ…

竜の夢見る街で(1)

「降参。わからないから教えてよ。なんであんなことになってるの」 「呪いだ」 ランプトンは言った。 「呪いが私をこんな姿にしたんだ」 楽しかった!人間嫌いなのに気になる人間ができてしまう過程がいいです。それにしてもこのアパートの住人は個性豊かだ…

フーバニア国異聞 水の国の賢者と鉄の国の探索者

「……エラードさん、またフーバニアに来てくれる?」 「ああ、来るよ。きっと戻ってくる」 「本当?」 「約束だ」 面白かった!読んだらフーバニアに行きたくなること間違いなしです。ぜひとも続きをお願いしたいところ。ああ、ちびに会いたい! → 感想

モンスターズ・イン・パラダイス 3

「違います!人間の俺とVのあなたが一緒に仕事をすることに意味があるんだ。人間にも、神話的人類にも、それを見てもらうことに意味があるんです。自分の目と耳で見聞きしたことは人から聴いたことよりずっと強いんです。だから、俺たちは一緒にやっていかな…

モンスターズ・イン・パラダイス 2

「知って欲しかったから。君が居心地の悪い思いをするのは今夜だけ。だけど、彼らにはそれが永遠に続く日常なんだ」 ジョエルは一瞬言葉を失った。あれが、彼らにとっては普通の状態なんだ……。 「でも、永遠ってことはないんじゃないですか。いつか変わりま…

モンスターズ・イン・パラダイス 1

「よろしくお願いします。ウィステンラ捜査官。ジョエル・H・ホープです」 「よろしく、ホープ君。僕はカート・V・ウェステンラ」 V? 「どうかした?ホープ君」 ウェステンラがニッと唇の端を上げて笑った。さっき彼が笑うとき口もをとかくした理由が―鋭く尖…

霧の日にはラノンが視える 4

今、ここに自分を必要とする者たちがいる。 何を迷うことがあるのだろう? 素敵な素敵な最終巻でした。もっとこの人たちの物語を読みたかったなー。→ 感想

霧の日にはラノンが視える 3

フィアカラが笑っている。 はめられたのだ。 一瞬、視線が合った。闇色の眼に勝ち誇った笑みが浮かんでいる。 「静粛に!諸君らはランダル・エルガー氏への新任を問うところだったな。改めて諸君に問おう。エルガー氏の盟主再任に賛成のものは?」 いい具合…

霧の日にはラノンが視える 2

「わたしは用を思い出したから先に帰るわ」 「えっ、ならあたしも帰る!」 追いかけたアグネスの耳元でシールシャが小声で囁いた。 「お馬鹿さん。彼をしっかり捕まえなさい。ラノンではね、ウェアウルフの恋人は、一千足の靴を履き潰しても探す価値がある、…

霧の日にはラノンが視える

「ラムジーが好きなんだね」 アグネス・アームストロングは、熟れたトマトみたいに真っ赤になった。 「ち、違うわよ!誰があんなチビ……」 「でも心配していたんだろう?」 うっ、とくぐもった声が漏れる。 突然洪水のように、彼女の量目からぽろぽろと涙が溢…