西東行

大祭の夜に 神々の迷宮

「——まずは、冬の祭の本当の姿を教えてあげようか」 詩人は高々と、月を指さした。 「神々の時代にはね、冬の祭はふたつあったんだよ。火神が舞う冬至の祭 —— そして吟遊詩人が歌う、真冬の新月の祭とがね」 時代が進むにつれて、失われていった祭の真実を掘…

神々の夢は迷宮

「正解をひとつだすより、十も間違うほうが有意義なことだって多いのよ。試行錯誤は無駄ではないわ。迷宮の探索だってそう。迷宮の確実な解法は、網羅的に、つまりすべての道をもれなくひとつずつ探索することなの」 「そりゃそうかもしれないけど、でもそれ…

鳥は星形の庭におりる

「でもこの世界には、もう創世の奇跡の力は残っていないんじゃなかったの?」 「奇跡なんて、今のこの世界にだっていくらでもあるよ。そうだろう?」 誇り高き少女と、謎の吟遊詩人の関係が素晴らしい。物語の雰囲気とちょっとした謎ものな展開もよかった。…