鳥は鳥であるために

呪受者。それは呪われたものに憑かれた者。
呪は呪受者以外には見えないとはいえ、社会から忌み嫌われる存在。
それゆえ呪受者は皆、必死に隠しながら生活していた。
志郎も他人の呪を食べて消す能力がある呪に憑かれていたが、その存在を知っているのは妹だけだった。
ある日、志郎は水星家の人間に強制的に連れて行かれた。娘についた呪を祓ってほしいと。
祓わぬときは呪受者であることをバラすと。
しかたなしに呪を祓う志郎。その帰りに一人の少女と出会った。
「人捜しを手伝ってほしい」
ひとつの呪に憑かれるだけでもきついのに、その少女は 5つの呪に憑かれていて・・・・・・。


人に忌み嫌われる呪受者。自分に近づくことは不幸の一環になる。
そう考える小鳩と、そう考えない菓と志郎。
独りは寂しい。でも傷つけたくない。その思いが強いゆえに傷つけてしまう。
そんな少女の心が少しずつ開かれる経緯が見事なまでに記される。
特にラストはよかった。
これからも期待してしまう物語。


鳥は鳥であるために - 野島けん


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