ベルカ、吠えないのか?

二十世紀においてアメリカ合衆国の領土が他国に侵略された事実。
それはただ一度だけ起きた。ふたつの小さな島が日本軍に占領された。
だが、アメリカはその島を奪還した。日本側で撤収できたのは人間だけ。
軍に所属するもうひとつの命、軍用犬は置き去りにされた。
戦争にもはや欠かせない軍用犬。始まりは置き去りにされたたった四頭の犬。
その犬の子孫が繰り広げる冒険の物語。


それは戦争の世紀で、様々な政治の流れに、様々な人々の意思によって犠牲になる犬たち。
一章一章がかなり途切れるのと、どちらかといえば神の視点から描かれるため、個人的には好みに合わない。
とはいえ、一気に引きずり込む迫力ある文章はすごい。犬たちがかっこいい。
そんな犬による現代史。
第133回直木賞候補作。


ベルカ、吠えないのか? - 古川日出男