憐 Ren 〜 routine 〜

〜 rainy 〜
初めてこの世界に来て思い知らされたこと。自分は無知で無力なのだと。
それがただただ悔しい。
見知らぬ土地を見回り見つけてしまった運命の男。
前がよく見えないのは雨のせいか……。

〜 entertrain 〜
「私、未来に行くの。こうしろって言われたの」歩道橋から飛び降りようとした少女。
唐突に出てきたのは監察官と同じく未来から来た先導者。
「時の意思」がなんと言おうと、私の周囲で先導なんてバカなことをやらかそうとするなら……

〜 link 〜
憐と玲人ができないこと。それはストバスで明確になった意思疎通。
その意思疎通を玲人と完璧にできる女性、晶。
その女性がまさかあの玲人を……
思い悩む憐は……

〜 strategy 〜
「友達以上恋人未満な関係をダラダラ続けている某二名をくっつけたい」
言い出したのは朋香。(強制で)賛同させられる友人たち。
そして計画は進められ、みんなでプールへ行くことになり……

〜 conclusion 〜
「進路相談について」担任が配ったプリント。
漠然とでもいいから書くように、という指示に、憐は戸惑う。
私は何をしたいのだろう?


今までの長編の間を埋めるようなストーリィは「〜 rainy 〜」ぐらいか。
他ははいつものメンバたちと過ごす日常を描いたストーリィ。
とはいえ、ホノボノとしつつ、急激な感情の脆さを描くシーンは時たまある。
個人的には「〜 entertrain 〜」がよかった。
未来の人間とはいえ、ああいった人がいるということ、また「時の意思」のちょっとした変化というかお茶目さというか、一風変わったシーンも見れるし。そして何より、憐の友達の頑張る姿はよかった。
そんな書き下ろし四篇を含む短編集。


憐 Ren 〜 routine 〜 - 水口敬文