天は赤い河のほとり 外伝 魔が時代の黎明

その方の手から杯が滑り落ち、亜麻色の髪を揺らして、ほっそりとした身体が草の上に崩れ落ちた。わたしは白昼夢を見るようにその光景を眺めていた。
距離にして数十歩。時間にしてまばたき数回分。それでもかたわらに膝をついたとき、すでにその方の輝くような生命は過去のものとなっていた。

それがヒッタイト帝国皇后陛下ヘパト・ヒンティさまのご崩御だった。
ご享年29歳。

毒殺であった。

まさか続くとは思いませんでした。最終結果は知ってても気になります → 感想