花闇を抱きしもの (上) 封殺鬼シリーズ 10

すっと少女が動いた。座したままの弓生の前に立って。
顔を上げるより先に、振り上げた桐子の手が弓生の頬に閃いた。
ぱんっ。
聖が目をむき、弓生は殴られた頬にそっと指を滑らせた。
「私が当主でいる間は、二度と私以外の者に頭など下げるな」
毛の先ほどにも表情を変えることなく、あくまでも傲然と、桐子は言い放った。

十歳にして、神島の当主となった桐子の物語。魅力たっぷり。 → 感想