空の彼方

「この装備を着けている人が居たら、それはこの店の客。つまりこの街、王都レーギスを帰るべき街と定めた旅人。貴方と同じ街の人間。だからもし、このマークを着けた人が困っていたら、貴方の出来る限りでいい。手を、差し伸べて欲しいの」
そこで、また彼女は一瞬だけ壁を見る。
「一人でも多く、この街に。この店に。大切な者の待つ家に、生きて帰れるように」

これはよかった。体質から外へ出られない防具屋の女主人に対して、防具を用立てて貰った傭兵や軍人が、任務後に外の世界について話す形で進む連作もの。舞台が常に防具屋なのでアクションとかはないんだけど、自由の重さや、人の繋がりが見えてくる話は、温かいものを感じました。「いってらっしゃい」と「おかえりなさい」って、とてもいいものですね。あとはラストにもうちょっと盛り上がりがあれば最高だったなあ。→ 感想