V.T.R. / チヨダ・コーキ

アール。
口の先から吐く息が、空気に触れただけですぐに青白く変化する。
アール。
今どこで何をしているのかな。誰とも知れない男と寝たりしているのかな。言えた義理は何もないよ。ないけど聞いて。俺は君とまたここに来たい。

三年前に別れた女からの電話を受けて、彼女の足跡を辿る物語。はじめは、ん?と思ったけど、情報屋や友の話を聞いて行くにつれて、だんだんと引き込まれてしまう。彼女の等身大の姿と、そんな彼女をまだ愛している男の姿が見えて切なくなる。ロボットの演出にはじわっときたよ。後半はほんと一気読みだったなあ。女々しいかも知れないけれど、美しき思い出のために戦うっていいな。他のチヨダコーキ作品も読んでみたい。→ 感想