Story Seller(3)

「土江田さんこそ、事件に巻き込まれていないでしょうね」
すばやい返答に対するせめてもの礼儀として、オレは血のついた指を見せた。
「解りました」小さくうなずいた。
「土江田さん、月並みな台詞ですが、犯人はあなたです」
「そういうストーリーになりそうだから、お前に声をかけたんだ。手を貸して欲しい」

もっとも印象的だったのは湊さんの「楽園」。突如トンガへ行く女の物語は、ぐらっとしつつも再生する人を描いてて、おおと思った僕がいる。ぐらっときたと言ったら、米澤さんの「満願」。下宿先のご婦人が人を殺した理由にぐらぐら。沢木さんは、多分ご本人が素敵な人なんだろうな。旅先での出会いや視線が優しくていいです。有川さんはエッセイっぽいお話。たしかにATOKだと変換できない。おかしすぎるだろ。SS シリーズで一番好きになったのは、佐藤友哉さんでした。このコンビはもっと読んでいたかったよ……。→ 感想