アルカサルの恋物語 さまよえる求婚と新たな妃

「おまえみたいな生意気な女を妻にしようなんて寛大な男は俺くらいなんだぞ。こんなに勝手気ままで、人を振り回しておいて全然気づかないで、なのにいつでも頭から離れないような迷惑な女、俺以外の誰がほしがるっていうんだ!」
ルシュドは目眩をこらえるように瞑目した。なんだか熱烈な告白を聞いているような気がする。だが、肝心の相手といえば、頭に血が昇りすぎて、話の後半部分は聞いていなかったらしい。
「か、勝手気ままって……あんたに言われちゃおしまいよ!人を振り回しておいて気づかないのだって、そっちの十八番じゃないの!」

意地っ張りな男の子と鈍感な女の子じゃ、そりゃあと一歩が届かないわけだ。告白しても届かなかったり、後宮の女たちにはいじめられるし。やりこめられるカシムの様子はすっごい楽しいけど、彼を思ってもんもんとするフェリシアも可愛くて良いよね。暗殺者が紛れ込んでるという情報から、いろいろ動くことになるけど、最後のオチが前巻と同じでニヤリでした。→ 感想