時の竜と水の指環(前編)

「……なにからお話しすればいいのでしょうか」
「きみの過去を。アイリ。なぜ、きみがこんな魔法使いのところまでくる決心をしたのか―その理由を。きみが男のなりをしている訳を」

兄の影を背負った薬師アイリが、魔術士に願ったのは、女になる方法だった……というお話。これはいい乙女心。強引だけど、真面目で正義感に溢れ、何より優しい騎士の傍にいるうちに……というのがいいです。嫌みすら真っ直ぐに受け止めてしまう素直な心が、周囲の人たちの心を和らげていく展開と相まって、二人の仲を願わずにいられない。魔術士の条件は、何とも切ないことになりそうだけど、乗り越えて欲しいな。後編が楽しみです。→ 感想