はなひらく ―淵国五皇子伝―

「あのね。世の中に『ありえない』ことなんてないの」
パフュームはお手入れの手を止めて、カナンに向き直る。
「いい?あんたがこれまで見てきた世界は、世の中のほんの一部でしかないの。淵では当たり前のことが、あんたの目にはとてつもなくおかしなことに見える。だけど、自分の知っていることが絶対の世界だなんて考えるのは、馬鹿の証よ」

これは面白かった。個性豊かな五人の皇子の歪みっぷりもいいけど、異国のカナンとふれあうことで、ちょっとずつ変わっていく様が素敵。特にきまじめ律の変化はよかったなあ。ショックも大きかったろうけれど、感動は消えないよね。のんびりお茶ばっかり飲む第四皇子のほんわかっぷりもよかった。読んでるとお茶が飲みたくなる。 最後にちょっぴり驚きが待っているけれど、温かくなる終わりに満足です。→ 感想