古戸マチコ

はなかおる ―淵国五皇子伝―

「いいえ、戻りません。顔だって見たくないわ」 扉の向こうでがたがたと茶道具の崩れる音がする。 「知らないわ、善なんて。わたし、しばらく会わないから!」 おぶらーとって偉大だね!微エロなところを付いてくるお話だったのに、おぶらーとが笑いに変えて…

はなうたう ―淵国五皇子伝―

「ふざけるな!」 嫌な汗をかいている。胸のうちを見破られてはならないと、声が高ぶる。 「私が善を殺すだと?そんな馬鹿なこと……!」 「たとえ、それで華南様が手に入るとしても?」 恋ってなんだろうというところから、思いが見えていくという展開が素敵…

つぎはぎ勇者の衣装係

マユコは腰に手を当てたいつものポーズで、ビシィと小次郎を指さした。 「魔王をいじめるなんて、そんな悪い子はプロフェッサー認めません!」 「魔王なのに!?」 楽しかった楽しかった!先に進めば進むほど、ツッコミまくりで萌えまくり!ちょっぴりセンス…

はなひらく ―淵国五皇子伝―

「あのね。世の中に『ありえない』ことなんてないの」 パフュームはお手入れの手を止めて、カナンに向き直る。 「いい?あんたがこれまで見てきた世界は、世の中のほんの一部でしかないの。淵では当たり前のことが、あんたの目にはとてつもなくおかしなこと…

やおろず 弐

「お祭りは、神さまと人間が一緒に遊ぶ行事でしょう。マレビトはお客さんとして、人間の出し物を見に来るんです。それなのに、演じる側がお客さんを怖がっていたら、お祭りは成功しませんよ」 見せる相手がいなければ、それはただの一人遊びだ。客を退屈させ…

ワルプルギスの夜、黒猫とダンスを。

「なんだか、ほっとした」 「そうだろう。猫の頭を撫でると人間は癒されるんだ」 ノーチェは得意そうに笑う。 「俺が使える、唯一にして最強の魔法だ」 内気な女の子が入れ替わりの魔法で傲慢な魔女の体に!?ビクビクしながらすごして行く内に見えてくる真実…

013: やおろず

「家神さん家神さん出てきてっつかさっさと出てこい!」 「なんじゃなんじゃ騒がしいのう」 「あんたにも聞こえてたでしょ。大変なのよ、なんかおひなさまが喧嘩して!」 というわけで、おひなさまやら、便所の神やら、竃の神といった、周囲にいるキュートな…