メグル

「こういうのはね、ここいらでは『引く手』って言われててね。通夜の晩に引っ張っていっちゃうんですよ」
「なにをですか?」
「生きている人を、あの世にです」
表情は思いがけないほど真剣だった。
「だから、あなたには今夜一晩ここにいて、お婆ちゃんの手を握って、それを止めていてほしいんですよ」

大学の奨学係のユウキさんから紹介される少しフシギなバイトを体験する学生たちを描く短編集。とても良かった。ちょっぴり怖い要素もあったりするけれど、バイトを通して、自分を見つめ直したり、生きることに感謝したり。最後の二編はじんわり泣かされる。→ 感想