神の棘(2)

「親父は形式だらけのカトリックを馬鹿にしていたが、あのときばかりは秘蹟に神を感じたと言ってた。怯えて泣いている子供には何を言うよりもただ抱きしめてやったほうがいい。それと同じだ。神の赦しだかなんだかわからんが、ただ行為そのものが、あんなに人を安らげることがあるんだって」
彼はじっと十字架を見つめ、それから強く握りこんだ。
「最後は皆、俺たちはただ赦されて、抱きしめられたいって思うんだろう。それが、生きてきたってことなのかもな」

読み終わったあと、心がざわついて落ち着かなかった。栄光から堕ちていく人と、這い上がっていく人の物語は、劇的と言うよりは現実的で、重苦しくも人の心に感動させられる。でもそんな思いすら終章でガラッと……すごいものを読んだという思いでいっぱい。→ 感想