プリンセスハーツ 〜これが最後の恋の巻〜

「話そう」
ハクランは言った。表情の乏しい、香炉から立ち上る白煙のようにつかみどころのないこの男が、この時ばかりは力強い声だった。
「この国がまだ豊かさを知らないころ、ほんの十数年前の ――、私の義姉アレットの最後の恋の話だ」

ジルの母の物語は胸が痛くなった。そんな話を聞きながら、オズマニアの手が伸びてくるドキドキを交わしていく様に喝采。いつしかお互いをこんなにも想い合っていたんだなと言う支えが温かい……けど、墓場が何を見せてくれるのか不安だ。→ 感想