高殿円

プリンセスハーツ 〜たとえ遠くはなれていてもの巻〜

「かわいそうね。あなたも私も。四年ずっと待っていたのに。たとえ遠く離れていても、きっと忘れないで約束を果たしてくれると信じていた。でも四年というときは短くはないのね」 ぎゃー!→ 感想

神曲奏界ポリフォニカ ウィズアウト・ホワイト

「あとは、あなたに任せますわ、ランディ」 「なに……」 「わたしははじめから、この世界の覇権もグローリアナーも、もちろん精霊島もどうでもいいのですよ。だから、あとはあなたの好きになさって結構です」 押しも押されて、絶望的な状況に。ラスボスがとて…

プリンセスハーツ 〜これが最後の恋の巻〜

「話そう」 ハクランは言った。表情の乏しい、香炉から立ち上る白煙のようにつかみどころのないこの男が、この時ばかりは力強い声だった。 「この国がまだ豊かさを知らないころ、ほんの十数年前の ――、私の義姉アレットの最後の恋の話だ」 ジルの母の物語は…

神曲奏界ポリフォニカ リグレット・ホワイト

「人ってよくできていると思うよ。大変な時ほど、こうやって大切な人の顔が頭に浮かんでくる。そして、頑張らなくてはだめだと自然と思わされるんだ」 ああ、精霊島が……直接の原因になるのかまだわからないけれど、禁楽を狙う者たちとプリムローズの思惑とが…

そのとき君という光が

「ずっと待っているよ。ローランドの王宮で毎日待って待って待ち焦がれるぐらい待ってる」 「なにをだ?」 「また来年もガレーネーが飛んでくるのを。白い羽根が雪のようにきれいで、きっとどこにいても見違えることはないんだ。僕はあの羽音のために生きて…

そのとき鋼は砕かれた

「エシェロンの皇王よ、あなたは永遠を知っているか」 「なに?」 「たったひとつでもいい、心に鋼よりも固いものをもっているか」 うれしはずかし計画が発動しようとすると邪魔が入るのはお約束ですが、恋する乙女っぷりが可愛いな……それ以上に姉御っぷりが…

そのとき翼は舞い降りた

「二つに一つですよ。大切な人に忘れ去られたまま永遠に生きるか、それともこの呪いを自らの力で断ち切るか」 借金のカタに売られたお金にがめつい少女が、悪神の籠手を継承して、無敵団の団長になってしまうお話。悲壮感漂うお話しのはずなのに、笑いが止ま…

銃姫(11) The strongest word in the world

「別れるときって、いつも相手に自分の中のなにかを残していくような気がするんだ」 セドリックは彼女に言った。 「だから、また会いたくなるんだと思う」 アンブローシアを取り戻す為に、エルだけでなく、ティモシー、キサラ、バロットなど、これまで関わっ…

銃姫(10) Little Recurring circle

―ねえエル。 僕らは、ふたり怪物だったけど、ずいぶん、人間らしい怪物だったね。 僕らは人間じゃないから、楽園にはいけないかもしれないけど、 どこにいても、エルがいてくれるなら、 僕には、それ以上の楽園なんてないんだ。 初っぱなからセドリックがや…

銃姫(8) No Other Way to Live

「でも、人間だけが旅ができるのは……、鳥やインパラのようではなく、自由に居場所を求められるのは、人間だからじゃないですか。そして、そんなふうにして、彼も僕も、多くの人たちが、あなたの元へ集まってきたんじゃないでしょうか」 エルの秘密やミトとの…

銃姫(7) No more Rain

「どんな出会いでもはじめは、たあいのないものだと俺は思う。肝心なのは、いまそうじゃないと思うことだと、俺は、思う……」 「いま、そうじゃない……?」 「そう。いまは、ただの偶然じゃないと思いたい」 ジュディットは、言葉を呑み込んだ。 「いまは、必…

銃姫(6) The Lady Canary

(たしかにあるのに、目に見えないものにふりまわされる……) セドリックはふと、顔を上げた。 それは、唐突なひらめきだった。 「かみさまも、そうじゃないのか……」 これまで見られなかったアンの弱音を聞き、ようやく思いを告げることが出来たのに……精霊王…

銃姫(5) The Soldier's Sabbath

「昨日も今日も明日も、あたしを愛してる?……あたしずっと、聞いてばかりだった。あんたはいつも馬鹿にするばっかりで、まともにとりあってくれなかったね。明日のことは明日にならないとわからないって。でも、あたしは……」 ビニーは弱々しく微笑んだ。 「…

銃姫(4) Nothing or All Return

「彼らはまともだ。この世の中に気が狂ってる人間などいない。だからこそ悲劇なのだ」 なんという現実。銀のくつしたまでは予想できたけれど(したくなかったけど!)、天使は……。夢を追い、理想を求める子供の心を、こういう形で壊していく展開は、予想以上…

銃姫(3) Two and is One

「ここで血の証明をして温かいベッドとミツバチの奉仕を受けるか。それとも嵐の中に放り出されるか好きになさい。わたくしの仕事は、ここでより純血に近い子供をつくり、絶対信仰中枢へ送り届けること。もしあなたたちの中でひとりでも種馬にふさわしい男が…

銃姫(2) The Lead In My Heart

「では、ただの無謀だ。若者はとかくそれを勇気と勘違いしがちだがね」 「そうかもしれません」 セドリックは頷いていた。 「でも、それらを区別する線は、あなたに引かれたくない」 ああ、もう切ない。聖人の骨は銀になるという逸話が、こういう形で見せら…

銃姫(1) Gun Princess The Majesty

「武器を手にしたから人を殺すんじゃないわ。人を殺そうという思いが手に武器を握らせるのよ。つまり殺意があれば、手にしたものはみんな武器になる。それはフォークだって、剣だって軍隊だって同じよ ―だから人間は、決して武器を捨てられない」 少年少女に…

プリンセスハーツ 〜今宵はせめて夫婦らしくの巻〜

「はぁ、じゃありません。殿下がせまってきたら、必ず関係をもちなさい。いいですか!」 「……ル、ルシードがわたしに迫ってくるなんて、そ、そんなことにならないと……思いますが」 「「なります」」 お互い想い合っているのに、どうしてすれ違うんだともどか…

神曲奏界ポリフォニカ リユニオン・ホワイト

人は、強い。だが、弱くもある。 己の手元により強く、確実な力があることを知ってしまえば、もはや頼らずにはいられないだろう。そして、もっと強い禁曲を、強い力を求めるようになる。 たとえそれが、禁忌をはらむものだとわかっていても。 二百年前を予感…

トッカン 特別国税徴収官

逃げるな。諦めるな。最後まで、お前自身がオトシマエをつけろ! 「やります」 わたしは、言った。 これは、わたしの『仕事』だ。 トッカン付きの仕事だ。 面白かったー!税金を滞納する人から、徴収する特別国税徴収官のお話。滞納理由はいろいろあって、時…

プリンセスハーツ 君は運命の人だからの巻

「なあ、ジル。俺はアンゲリオンの教義はよく知らない。ただ、どんな人生であっても、生きるために必要なことがあると俺は思う」 「それが、誕生日ですか?」 「違う。生まれてきてくれてうれしいと、だれかに言われることだよ。それも何度も。できるなら毎…

神曲奏界ポリフォニカ ピュワリー・ホワイト

皆、誰かがなんとかしてくれると思ってる。 きっとすごい巫女姫が現れて、すごい神曲を奏でて世界を救ってくれるだろう。 すごい人たちが、がんばるんだろう。 私たちのような平凡な人間がなにかをしなくても、そのうち誰かがやってくれる。 そのうち。 その…

プリンセスハーツ 誰も代わりにはなれないの巻

「いいえ、聞きません。早急に改善を要求します。まずは、可愛がるの基本をマスターし、次に応用を求めます」 「応用ってなんだよ!?」 「応用は応用です。きっとものすごいことです」 「自分で言っててわかってないじゃないか!」 「違います。わたしはわか…

プリンセスハーツ 初恋よ、君に永遠のさよならをの巻

「それは、お前のことをよくわかってなかったから……」 「わたしのなにがわかってなかったんですか?」 「……だ、だから!お前が、意外と間が抜けてて……」 ごにょごにょと言葉を濁しつつ、ルシードは、困ったように言った。 「けっこう、俺がいないと、駄目な…

神曲奏界ポリフォニカ メモリーズ・ホワイト

言葉に、できない。 この迷いを、この憤りを、喜びを悲しみを、単純に言葉で表すことなんてできない。 (だから、神曲があるんだ!) 過去編完結。なるほどねーと思うことと、新たに謎が見えて、うーんとなったり。っていうか、過去編ちょっと長かったよね………

神曲奏界ポリフォニカ マージナル・ホワイト

ただひとり、闇の中に取り残された少女は、特に何か感慨を覚えたふうもなく 「ついに、始まる……か。あの男が奏でる地獄の葬送曲。いや煉獄への道か?」 ぽつりと、そう呟いたのだった。 「それとも、救いか?」 まだ続くのか……短編は短編で面白いんだけど、…

プリンセスハーツ 恋とお忍びは王族のたしなみの巻

「ほーう。……ついこの間、間諜の女に毒を飲まされてぺらぺらと政情をしゃべったあげく、命を狙われて国政の危機を招いたばかりだというのに、あなた様ときたら、仮面を被って派手派手な仮装をして、街へ遊びに行きたいと、そー申すのでございますか。ほほー…

神曲奏界ポリフォニカ スパイラル・ホワイト

「確かに今の彼にとって、大切なのは今の契約相手かもしれない。だからって、君と一緒にいるときの彼の心まで疑うのは良くないよ。少なくとも君と出会って一年近く、僕は、いつもすぐ側で君たちのことを見てきた。 ブランカは……彼は、スノウのことをとっても…

神曲奏界ポリフォニカ エンシェント・ホワイト

「あいつには、あまり関わらないほうがいい」 「ブランカ?」 「あまり関わらないほうがいいと言ってるんだ」 「なんでまた……。いままでそんなこと一言も」 「あいつからは奇妙な気配を感じるんだ。まるで……」 スノウからわずかに視線をはずして言う。 「こ…

プリンセスハーツ 乙女の涙は最強の武器!の巻

「な、なに、なにを……、お前、どう……。さっきから、話の脈絡がないぞ」 ぷい、とジルは横を向き、 「そんなことはありません。やっぱり、あなたの側にいたほうがいいと思います」 言ったとたん、ルシードががーんという顔をした。やはり変なことを言ったのか…