吉原夜伽帳 -鬼の見た夢-

「笑って、笑って、ほんの気持ちを押し隠し、嘘の言葉で己を塗り固める……そうやってあんさんを育てたんは、わちきでありんす。わちきは、所詮、籠の鳥。そんな生き方しか、知らんした」
「……」
「あんさんとわちきは、合わせ鏡。どんなに手を伸ばそうと、交わることはありんせん」

吉原を舞台にしているだけあって、その素性や未来については、決して明るいだけのものではないんですが、その中で思いを抱いた人たちが、時に悲しく、時に温かく、人の繋がりを見せてくれて、気持ちのいい読後感になれました。雰囲気もいいし、いいなー、こういうの。
感想