北山猛邦

私たちが星座を盗んだ理由

「首飾り座を盗んだのは、夕兄ちゃんでしょう?」 「そう、僕が盗んだんだ」 二十年間ずっと、私を悩ませ続けた謎。 「一体、どうやって星座を夜空から消したの?」 短篇集。どれもこれも、ラストが印象的なお話です。時にひと言が心をえぐり、時に記号が現…

『アリス・ミラー城』殺人事件

「『不思議の国』の続編として書かれた『鏡の国』に登場する鏡は、まさにキャロルたち自身が通り抜けた鏡だったのではないかと考えるのです。ファンタジーの世界へ抜ける鏡が実際に存在し、彼らはそれを現実のものとして体験していたのですわ」 「それが『ア…

『クロック城』殺人事件

「外壁の三つの大きな時計が『クロック城』と呼ばれる理由でしょう」瑠華は淡々とした口調で云った。「真ん中の時計は現在の時刻を、左の時計は十分遅れた時刻を、右の時計は十分進んだ未来の自国をさしていると言われます。屋敷の中も、中央を『現在の館』…