岩田洋季

花×華

「でも、……いいことも、あったよ」 「なんだ?」 彼女はまたすこし、微笑んだ。 「恋に、出会えた」 華と花。ふたりの美少女に言い寄られて、彼女たちを題材に映画を作る青春もの。張り合ってた二人が、同じ時間を共有することで、仲良くなっていく展開は良…

護くんに番外編で祝福を!4

「昨日も今日も、たくさん文句を言ったくせに」 エメレンツィアは思わず微笑んでささやいていた。 「素直ではないのです。ベアトリーチェ。わたしと会えてうれしいならうれしいと、素直に言ってくださればよいのです。……わたしはベアトリーチェ、あなたとま…

めしあのいちにち (2)

「信じて。保ちゃん。錬子ちゃん。わたしは……だいじょうぶ。きっと」 やさしく、やさしく、やさしく――微笑んで。 「わたしだって自分を傷つけたいわけじゃない。そんなわけない。怖いし、辛いし、痛いのは嫌だ……よ?でも、わたしは……どうしても、たしかめた…

めしあのいちにち

「わたしや蛍雨や、ほかのみんななら……悩んでもいいわ。でもあんただけは、めしあにいちばん愛されているあんただけは、すべて吹っ切って、めしあの手を掴もうとしなさいよ!余計な面倒はわたしたちが片付けてあげるから!だって、ほかのだれでもない、あん…

護くんに番外編で祝福を!3

「そうやって見てきたからこそ、お嬢さまがどれだけ愛らしい子か、誇り高い子か、明るくやさしい子か、私はだれよりも知っています。お嬢さまの才能は天からの祝福であり、この世で最も美しい奇跡なのです。お嬢さまが化け物など、そんなことあるものか……!…

護くんに女神の祝福を!12

恋って……なに? 護が絢子に感じているすべて、数え切れないくらいたくさんの思いや奇跡の全部を、いったいどうすれば説明できるんだろう。それは世界すべてをひと言にまとめるような、大変に困難な作業だ。どうすれば、アド・アストラに答えられるのだろう。…

護くんに女神の祝福を!11

「絢子さん、素直に、信じてください」 「― え」と、うろたえる絢子へ微笑みかけた。 「絢子さんがこんなことじゃへこたれない強いひとだって、わかってますから。みんなわかってて、それでも絢子さんを守りたい、絢子さんのためになにかしたいって思ってる…

護くんに女神の祝福を!10

「それは見苦しい甘え、ですわね」 「甘え……?」 「ふたりのすれ違いで喧嘩したのに解決は片方だけに任せる…・・・というのが甘えでなければ、いったいなんなんですの?」 エメレンツィアの物語でした。ぜづない → 感想

護くんに女神の祝福を!9

「いまの護の言葉、少しだけ違うと思うわよ?」 「え……?そ、そうですか」 「ええ」 絢子は深々とうなずいて、ぱちりとウインクした。 「あなたの思うとおり、あなたの道しるべになったのは彼かもしれない。九年前の、あの日かもしれない。でも、いまここま…

護くんに女神の祝福を!8

「お姉さまの首に、キ……キスマークが!」 護と絢子は同時に「え」「は?」と一瞬言葉に詰まったのち、 「ち、違う違う違うよ由良理ちゃん!?」 「―蚊よ、蚊!馬鹿!これは、蚊に刺されたの!由良理あなたね、おかしな勘違いしないでちょうだいっ。だって護…

月の盾

「村瀬くん、キミはなにをやってるんだ」 鏡子さんは情熱のこもった口調で懸命に言う。 「この『月の盾』は、リビングに飾ってそれで終わらせていいものじゃないよ。わたし、描くことに対しては自分の才能の限界に見切りをつけたけど、それでも見る目はある…

護くんに番外編で祝福を!2

シリアスな作品が印象的な短編集 → 感想

護くんに女神の祝福を! 7

入学式。それは護が生徒会副会長になってから初めての大舞台。 今年の新入生は「絢爛世代」と呼ばれるほど優秀な生徒が多い。 自分たちに自信を持っているがゆえに、年長者に、特に綾子への敬意がなかった。 天才と言われてるけど過大評価でしょう、と。 そ…

護くんに女神の祝福を! 6 【amazon】

それはエレメンツィアにとって過酷な作戦だった。 だが、義兄の命令は絶対だ。そのための準備は行った。 あとは実行あるのみ! その作戦の名称は「吉村護めろめろ大作戦」だった・・・。 ベアトリーチェの絢子と護を別れさせるために頑張るエレメンツィア。 …