松井千尋

犬が来ました ウェルカム・ミスター・エカリタン

「ほんとうに馬鹿者だ、あなたは。結婚を断って、帰ったほうがよかったんだ。わたしが、最初に帰れ、と命じたときに」 「お命じになられたときには、もう遅かったんです。そのときにはもう、あなたのこと、好きになっていましたから」 「犬が来る」ってどう…

ダイスは5

今頃になって、この遊びに参加したことを後悔しはじめていた。 自分と鴇彦や1番の少年のあいだに、大きな溝を感じていた。 警察が介入してこないラインで遊ぶというのは、おそらく、全員が共通して持っているルールのはずだった。ただ、ルールに対する解釈が…

ハーツ ひとつだけうそがある

これでも真純が自分を拒むなら、それはもうしかたのないことなのだ。了も納得する。人間の気持ちを他人が動かすことはできない。自分の気持ちを自分で動かすことすらできないんだから。 「僕は、そういう風にしか、好きになれない」 と、いった。 「愛すると…