谷瑞恵

花咲く丘の小さな貴婦人 荒野へ、心に花束を抱いて―後編―

「なら、そばにいてくれるの?」 いつもの自分なら言えそうにないことを口走ってしまうのは、まだ不安定だからかもしれない。 「今だけは、昔のままのあなただと思っていい?」 思い合いながらもすれ違う様に、もどかしさを覚えたけど、周囲の支えや、自分も…

花咲く丘の小さな貴婦人 荒野へ、心に花束を抱いて―前編―

「わたしが、彼をつらい目にあわせてしまっているのかしら」 結局、エリカとの約束がジェラルドを縛っているのではないだろうか。 約束さえなければ、彼は両親のもとへ帰ってきていたはずだった。 「それは違うよ。エリカ、きみはジェラルドの希望なんだ」 …

花咲く丘の小さな貴婦人 それは青いすみれの季節

「あんたもよ、エリカ」 身を乗り出した彼女に手を握られ、エリカははっとする。 「離れてしまうことが将来を変えるんじゃない。あんたが何を望むのかよ」 自分の思いに気づき始めた乙女が、身分違いの恋に悩む。くぅー!! → 感想

花咲く丘の小さな貴婦人 林檎と花火とカエルの紳士

「違うだろ、だって、もらってもいないのにどう思うかわかるわけないじゃないか。そりゃおれだって、……おまえが一生懸命つくったのをもらってみりゃ使う気になるかもしれないし」 「あなたが?そんなわけないじゃない」 「決めつけるなよ」 「……だったら、使…

花咲く丘の小さな貴婦人 寄宿学校と迷子の羊

「恩着せがましいわね!」 「人の好意を素直に受け取らないからだっ」 「受け取れないわよ……あなたの、監督生としての名誉と引き換えにするほどのものじゃないわ!」 「するほどのものかどうかはおれが決めるんだよ!」 「……ありがとう……」 素晴らしき宿舎も…