高丘しずる

花は後宮にあり!正妃擁立と花梅のやくそく

―ああ、悔しいなあ……。 露露は心の中で苦笑する。寒月はもう二度と寒月に戻ることはないだろう。なのに、 ―あたし、まだ、こんなに寒月のことが好きなんだ……! 前作の終わりの衝撃をそのまま引きずった一冊は、とても重かった。恋はこんなにも苦しいものなん…

花は後宮にあり!後宮解散と届かない手紙

「そなたは、なにもいってはくれぬのか……?」 「だって、あたしはァ……」 「予の、友だちであろう?」 ああもう、他の人の好意にはなかなか気づかないのね。とはいえ、寒月の言葉に素直に頷けない程度には自立してて、うんやっぱ露露はこうじゃないと。どちら…

花は後宮にあり!正妃誘拐と血赤のかんざし

「ともかく、その豹隠党の再浮上と後宮内での物盗りが偶然なのかそうではないのか調査の必要がある。そこで、まず予がふたたび内人見習いとなり、後宮内を調べることにしたのだ」 「って……それで、なんでわざわざまた女装して……」 好きな人をまっすぐ見られ…

花は後宮にあり!

「本日ただいまを持って、柳露、そなたを、正式に尚功内人に任命する」 「……なんですと?」 借金の形+初恋の人に会うために後宮へやってきた女の子のお話。露露の無鉄砲っぷりが楽しいし、同室となった仲間同士の温かさが良かった。中でも虎嬌の格好良さに…

王女修業、ごろうじろ。

「セット」 「うん?」 「わたしはいまはじめて『王女』や『王』の持つ言葉の意味を知った」 「そうか」 「だから、もう迷わない」 すっごい面白かった!これが最終巻だなんて残念すぎるますが、次のシリーズを楽しみに待ちたいと思います。 → 感想

王女修行、きわめます。

「知らないの?動物も赤ちゃんも、ちゃんとやきもちを焼くわよ」 「……」 「ましてや、あの子は人間で、年頃の女の子。嫉妬ぐらいするでしょうよ。なにに対してかは、彼女のみが知る、だけど。……ね、なにをそんなに焦っていいわけするの?」 「……ありえない、…

王女修業、はじめます。

「あなたが起こしたっていう事件がどんなものかわからない。でも、大伯父さまは、遅かれ早かれあなたを城の外へ出したと思う。外を見なさい、エルサ。外を、世界を見るの。世界のあちこちに、あなたの手を必要としているひとがいる。あなただけが助けられる…

エパタイ・ユカラ 愚者の闇

「……ほんとうに、平和な国かな、この国は」 今度は彼が質問してきた。 「ねえ、古閑さん。自分の国なのに、自分の国だと国民が胸を張っていえない国が作る平和ってほんものかな?」 「偽りでも!偽りでも、嘘でも、誰かが泣く ― 慧子さんみたいに泣くひとが…

エパタイ・ユカラ 愚者の恋

みなさん、恋をしてください。幸せな恋でも、つらい恋でも、どんな恋でもいい。恋は世界を変えます。いつか、この世を離れるとき、胸を張り、誇れるような、そんな素敵な恋をしてください。 あまりに幼くて、あまりに純粋で。なるほど、これが愚か者の恋か。…