夏の塩

久留米だけがおめでとうと言ってない。
おめでとう。
誕生日おめでとう。
簡単な言葉なのに、口にできない。最初を逃してしまったのでタイミングが難しくなった。困り果てた久留米は、「もう一個」と魚住にケーキ皿を突きつける。
魚住が微笑んだ。
ケーキのように、ふわりと柔らかい表情だった。

造形美しくも、常識の欠けている魚住が、大学の時の同級生である久留米の家に転がり込み、久留米の元カノ・マリと、隣人の外国人サリームの四人で過ごすうちに、少しずつ少しずつ変わっていく、綺麗に笑っていく。そんな展開がとてもよかった。ラストはとても涙ものだったけど、これから二人はどうなっていくのかしら。気になるばかり。→ 感想